物流企業では、人手不足の問題や環境問題などの対策で共同配送する企業が増えてきました。
共同配送は複数の物流企業の荷物を1台のトラックでまかなうことにより、さらなるコストダウンと環境改善に努めています。
この記事では共同配送について、またメリット、デメリットについて解説していきます。
共同配送とは?
共同配送とは、複数の物流、運送会社の荷物を1台のトラックに積載して、配送する手段のことを指します。
1社のみの場合だと納品先によってスペースの空きが生じやすいですが、まとめて荷物の配送を請け負うことにより、効率よく配送することが可能です。
トラック以外にも人件費の削減ができるので、現在深刻な問題になっている人手不足の解消にも繋がります。
とくに外食チェーンや大型ショッピングモールなどでは、複数の物流会社から荷物を受け取る契約が多いですが、共同配送だと荷受け作業が少なく済み、発注も簡略されるので納品先からもメリットの多いシステムといえるでしょう。
また近年では北海道で大手ビール会社4社が共同配送を行い、CO2排出量は約3割削減となっています。
ほかにも日清食品とサッポロホールディングスが都内において、即席麺とビールの共同配送を実施し、トラックの使用台数は2割減、CO2排出量も年10トン削減と発表されました。
このように共同配送は環境にも優しい配送手段として国土交通省からも推奨されています。
共同配送のメリット
共同配送を行うことにより物流業界での主なメリットは以下の3つになります。
コスト削減
コスト削減は共同配送の最大のメリットといえるでしょう。
1社では納品先に対し配送量の少ない依頼でも、複数の企業で共同配送を行なえば、積載率の向上に繋がり少ないトラックで配送をまかなえます。
トラックの台数を削減できれば人件費や燃料費の削減にも繋がるので、1個あたりの配送単価も抑制されます。
ルートの効率化
もともと同じ納入先で複数ルートに分かれていたのが共同配送では一元化できるので、ルートの本数自体も少なくなってルートの効率化にもなります。
ほかにも1ルート辺りの件数も少なくなるので顧客先の時間管理もしやすくなるでしょう。
時間管理がしやすくなると、急な追加発注でも柔軟な対応が可能なので、顧客へのさらなる信用確保に繋がります。
環境問題への配慮
環境問題は物流企業が今後避けて通れない重大な課題です。
共同配送を実現することにより配送車両の減少に繋がるので、排気ガスに含まれる有害物質やCO2排出の削減となるので環境の負荷を下げることに繋がります。
年々、環境基準は厳しくなっているので、CO2の排出量を削減しやすい共同配送は環境面で取り組みやすいといえるでしょう。
共同配送のデメリット
メリットの多い共同配送ですが、当然デメリットもあり以下の2つになります。
時間とコストの管理
共同配送では自社以外の荷物の取り扱う必要があるので、それだけ納品に時間がかかることが想定されます。
また複数の物流企業が関わるため、急な発注やルートの変更には対応しにくくなることが考えられます。
当然、自社以外の納品も行うのでルートによっては非効率になることも想定されるでしょう。
自社以外での配送先の追加はコスト面でも不利となるので、サービス低下にも繋がります。
荷物の追跡が困難
共同配送の場合は、自社以外の荷物の配送があるので、荷物の追跡が困難になることが想定されます。
物流企業ごとに取り扱っているシステムが統一されていないことがほとんどなので、配達状況を確認しにくくなっています。
また紛失や破損の際も責任の所在がわかりにくいこともあるので、定義が難しい問題です。
まとめ
この記事では共同配送のメリット、デメリットを解説しました。
共同配送は、複数の物流企業の荷物を一元管理してまとめて配送できるので、トラックや人件費、燃料費のコスト削減につながるのが魅力といえるでしょう。
またルートの効率化や環境問題への配慮など、いま物流業界が抱えている問題への対処がしやすいのも特徴です。
しかし共同配送は企業同士が連携していないと、コスト高になりトラブル発生の元になるので企業間によるルールの取り決めをしっかりしておくことは必要不可欠です。