輸送方法のひとつとして定着しつつあるのがミルクラン方式です。
もともとは牛乳メーカーが、原材料である生乳を各酪農家から巡回集荷を行っていたことから名付けられた集荷方法です。
現在ではさまざまな業種によって導入され、認知が広まっています。
この記事ではミルクランのメリット、デメリットや導入の注意点まで解説していきます。
ミルクランとは?
ミルクランとは荷主であるメーカーが車両を用意し、部品や原材料の供給元であるサプライヤーに巡回して集荷する共同配送の一種です。
とくに部品点数が多い分野である自動車産業や家電業界では一般的に導入されています。
なぜなら各サプライヤーから個別で調達するよりも必要分をまとめて集荷できるミルクランのほうが効率が良いためです。
その他の導入事例としては、佐川急便が大手アパレルメーカーとアパレル卸業者と併せて70社による小ロットにも対応したミルクランが行われています。
ミルクランのメリット
ミルクランのメリットは、導入することにより輸送コストの削減ができます。
これまでは、部品や原材料の供給元であるサプライヤーごとに用意していた車両をメーカー側がまかなうので、管理や維持する手間が省けコスト削減につながります。
また輸送コスト以外にも検品作業などの人的コストも抑えられます。
導入前までは、センターに到着するたびに行なっていた検品を集荷車両がまとめて納品するので、一度の検品で済むためです。
ほかにもミルクランは検品以外の人件費の削減にも貢献しています。
なぜならまとめて集荷することにより、トラックの台数の削減だけではなく従業員の縮小にも繋がるからです。
さらにトラックの台数が少なくなることはCO2の排出量も少なくなるので、環境負荷の低減にも貢献しているといえるでしょう。
台数が少なくなる分ダイヤも組みやすくなり、サプライヤー側としても過剰在庫を抱える要素が減り、管理や製造コストの削減にもなっています。
ミルクランのデメリット
ミルクランのデメリットは、集荷ポイントが遠くなるほどコストがかさみ効率が悪くなります。
共同配送であるミルクランは、一ヶ所でも集荷ポイントが遠いと納入時間がかかり、ダイヤや予定が組みにくくなるのでサプライヤーの負担も増えるでしょう。
ほかにもサプライヤーの規模が大小異なることにより、大型トラックだと受け入れ態勢がとれないこともあります。
そのような場合は、別途小型トラックを用意する必要があり、調達コストが増加します。
ミルクラン導入時の注意点
ミルクランを導入する際は事前にサプライヤーとの綿密な打ち合わせが必要になります。
集荷する場所や時間、搬入する荷物の量や積み込む方法など多岐にわたります。
サプライヤーごとの情報をしっかりまとめておかないと定刻に間に合わなかったり、荷物が多すぎて集荷できなかったりすることになるでしょう。
またサプライヤー側にもいくつもの企業努力が求められます。
具体的には集荷トラックが到着次第、積み込みをスムーズに行うことや必要な部品や資材を迅速に出荷できる体制などです。
トラブル発生や想定通りに集荷できなかった場合の対応策も事前に共有する必要が不可欠です。
まとめ
この記事ではミルクランについてメリット、デメリットや導入の注意点について解説していきました。
条件さえ整えば環境面やコスト削減面で受ける恩恵が大きく、導入企業が増えています。
近年ではコンビニ業界でのミルクラン導入が当たり前になっており、時間指定の遵守や労働環境の改善に貢献しています。
発荷主やサプライヤーの事前シミュレーションをしっかり行っていれば、双方にとってコスト削減に繋がりメリットの大きい共同配送といえるでしょう。